待合室388

趣味の自戦記

2020/06/11_四間飛車対居飛車穴熊

 なんだかんだ言っても四間飛車一本で相当なところまでやれるので、上達に必要な棋書や指導者の充実ぶりを考えれば、四間飛車党が多いのも当然のような気がする。自分は四間飛車ほとんど指したことないんですけど。
 対四間飛車で何をやるかについては、持ち時間に依存している部分が大きくて、持ち時間なしで道場で指す場合なんかは急戦で勝ち切れることが相当多いし、持ち時間が短い場合や持ち時間が少なくなったときのリスクが大きいときは穴熊を選んでしまう。早指しで実戦投入しているものだから、穴熊の学習定着率は急戦に比べて結構低い。細かな形の違いや形勢判断がアバウトなものだから、6割以上の確率で非勢と思う羽目になる。

棋譜をKI2形式で貼り付けておけば文章中に楽に挿入できることに気付いたので今回からそうしてみる。変化は先後表示を☗☖から▲△に、1行当たり6手ごと。

▲相手
△自分
▲7六歩 △8四歩 ▲6六歩 △3四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲4八玉 △4二玉 ▲3八玉 △3二玉 ▲2八玉 △5四歩
▲3八銀 △8五歩 ▲7七角 △5三銀 ▲7八銀 △5二金右
▲5八金左△3三角 ▲1六歩 △2二玉 ▲1五歩 △1二香
▲6七銀 △1一玉 ▲5六銀 △4四銀 ▲6五歩 △4二角(第1図)

    【第1図は△4二角まで】

 随分一気に進めたものの、問題とする局面はここ。四間飛車居飛車穴熊、▲6五歩に対して△4二角があまり良くない手のようだ。当然ながら角の利きが大きいので、玉頭銀と連動した攻めは先手の6筋突破より厳しい。よって△5五歩とするのが定跡。▲6四歩の攻め合いは△同歩▲同飛△6三歩▲4四飛△同歩▲5五銀が後手指せる。大事なのは角の利きを残して▲4四銀の突進に△2二角としておくことで、これで潰れない。持った飛車で敵陣の桂香を拾っていく。△5五歩に▲6七銀△2二銀▲6六銀△7四歩▲4六歩△3一金▲4七金△4二金寄でいい勝負。

 

▲4五銀 △2二銀 ▲4四銀 △同 歩 ▲同 角 △5三銀
▲7七角 △3一金 ▲4六歩 △4三金 ▲3六歩 △4四銀
▲4七金(第2図)

    【第2図は▲4七金まで】


△8六歩 ▲同 歩 △同 角 ▲8八飛 △8五歩(第3図)

    【第3図は△8五歩まで】

 途中▲4四銀が玉頭銀を台無しにするような一手で、普通に▲3四銀と威張られている方が嫌だった。局面が落ち着いて充分に固められればこちらも満足なので、△5三銀から第2図までは歩損に収まっている。現局面では4三の金が浮いているので、△3三金~△3二金とでも固めていくべきだったのだろうが、8筋から突っ掛けてしまったのが第3図。▲8六角で普通に困っており、△同歩▲8三歩△同飛▲6一角が痛い。

 

▲8六飛 △同 歩 ▲4四角 △同 金 ▲7一角 △4二飛
▲5三角成△4三金 ▲6三馬 △8八飛(第4図)

    【第4図は△8八飛まで】

 △4三金といった手は飛車を渡しても手順に金を引き付けることが出来る手で、少し前はできていなかったようなことなので棋力の向上を感じる。

 

▲5一銀 △6九角 ▲3七金 △8九飛成▲4二銀成△同金引
▲8二飛 △2五桂 ▲2六金 △4七銀 ▲3九銀 △3八銀成
▲同 銀 △4七銀 ▲3九銀 △8八龍(第5図)

    【第4図は△8八龍まで】


▲2五金 △3八銀成▲同 銀 △3六角成▲2六金 △同 馬
▲同 歩 △4八歩 ▲3九金 △4九金 ▲6六角 △6八龍
▲4二飛成△同 金 ▲3一銀 △6六龍(第6図)

    【第4図は△6六龍まで】

 

▲5一銀に△6九角としてしまったが、素直に飛車をかわして相手に速い攻めを与えない方が良かったようだ。筋の悪い攻めを続けてしまい、第5図8八龍がよくない手で▲2五金と抜かれしまった。△3六角成▲2六金に△同馬と切ってしまった時点では完全に寄りが戻っていたようで、△4六馬ではなぁ……と思っていたものの、△4八銀と絡んだ方が良かったようだ。完全に本譜の攻めをソフトに否定されている。その後第6図で根本の角を抜いてようやくなんとかなりそうな気が再びしてきたところ。以降も筋のいい寄せ方ではなかったようだが、なんとか勝ち。

▲4二銀成△3九金 ▲3二金 △3八金 ▲同 玉 △4九銀
▲2八玉 △3九角 ▲2七玉 △3八銀打▲1六玉 △2五金
▲同 歩 △4六龍 ▲2六桂 △4二龍 ▲2二金 △同 龍
▲3四桂 △3六飛(投了図)
まで、110手で後手(自分)の勝ち

    【投了図は△3六飛まで】

 

2020/06/10_矢倉

 強い人ほど先後の勝率の差が出やすいものだろうけれど、自分は相居飛車の後手番が結構好きだ。横歩取りと一手損角換わりの後手番はやらないものの、角換わりでも矢倉でも相掛かりでも後手を持って充分だと思っている。むしろ先手の方が仕掛けの義務のぶんだけ憂鬱かもしれない。定跡書を読んだ後は特に。変な攻めでは成立しそうにないイメージが頭を支配するからだ。

 

☗相手

☖自分

※局面図は後手目線にしているので逆になっていることに後で気付きました

☗7六歩 ☖8四歩 ☗6八銀 ☖3四歩
☗7七銀 ☖6二銀 ☗7八金 ☖7四歩
☗2六歩 ☖4二銀 ☗2五歩 ☖3三銀(第1図)

   【第1図は☖3三銀まで】

 戦型は矢倉。途中☗7八金は様子を見たような手で、こちらからあまり形を決めすぎると損になるところ。こちらとしては☖7四歩が一番想定図に合流しやすいと見た。第1図は近頃よくある矢倉の出だしに☗7八金☖7四歩の交換が入った、といったところか。

☗3八銀 ☖3二金 ☗5六歩 ☖5四歩
☗6九玉 ☖4一玉 ☗7九角 ☖3一角
☗5八金 ☖5二金 ☗3六歩 ☖4四歩
☗3五歩 ☖6四角 ☗4六角 ☖3五歩
☗3七銀 ☖4六角(第2図)

   【第2図は☖4六角まで】

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 ☗3八銀など固有の含みを持たせたような手が続いており、相手が甘い手を指せば嵌めます、というにおいがする。その印象に違わず、☗3五歩と仕掛けてきた。取ると3六銀型を作られて先手充分なので、☖6四角☗4六角☖3五歩とすればすぐには歩を取り返されない。30手目☖4六角では30秒ギリギリまで考えた後がある。
 確か①☖5三銀として☗6四角☖同銀と形よくとるべきか、②角交換後の☖3九角〜☖8四角成をみた☖8五歩、そして③本譜のようにするかで迷っていた気がする。少しでも得をしたと思ったら調子に乗ってしまうのが悪い癖だ。

☗同 銀 ☖3六歩 ☗7九玉 ☖8五歩
☗2六飛 ☖3七歩成☗同 桂 ☖3六歩
☗同 飛 ☖4九角成☗6八金右☖4八馬
☗3四歩 ☖同 銀 ☗3五歩 ☖4三銀
☗5七金 ☖4五歩(第3図)

   【第3図は☖4五歩まで】

 矢倉においては馬作りを主張にする場合、それが消されたり捕まえられたりしないことをきちんと読んだ上で指すべきで、格上に通用しないことも多い。一方で自分がされると結構嫌なのだ。飛車を追われたり上部開拓されたりしてしまう。本譜は☗5七金が大悪手で、第3図以降大差となってそのまま押し切り勝ち。
 とはいえどのようにして矢倉を崩すか、アヤを生む指し方はないかなど考えることは色々あるわけで、本筋に自然と手がいくわけではない弱い時にこそ自力で考えたい。終盤の局後検討は一番大事。

あとで追記するかも。

2020/06/09_相振り飛車

 初対面の人が居飛車でくるか振り飛車でくるか、そんなことは判るはずもない、はずなのけれど、こちらが飛車を振りたいときに限って相手も飛車を振りたがっている、というのは珍しいことではない。
 飛車を振りたいという欲求は基本的に対抗形の振り飛車を持ちたいという欲求に由来するものなので、相振り飛車は「そうだったらいいのにな」ではなく「そうなったら仕方がない」という類のものになる。そういう招かれざる客であるからこそ、特に好きでもないにも関わらず「勝ちたい戦型」に分類されるのが先手番での相振り飛車だ。

 

☗自分
☖相手

☗7六歩 ☖3四歩 ☗6六歩 ☖3五歩
☗7七角 ☖3二飛 ☗8八飛 ☖3六歩
☗2八銀 ☖3四飛 ☗6八銀 ☖5二玉(第1図)

   【第1図は☖5二玉まで】

 先手が角道を閉じたので後手三間飛車にするのは有力な作戦のひとつ。こちらも向かい飛車にした。後手いきなり☖3六歩、全く思想が合わない今後を象徴しているようだった。
 相振りにおける三間飛車のメリットのひとつとして、相手に3筋(後手7筋)の歩を突かせないことが挙げられる。相振りは右矢倉に組んで作戦勝ち、という時代でもないけれど、相手の囲いに制限をかけている点は評価すべきだろう。
 この歩は互いに相手に取ってもらいたい歩なので放置するのは自然だが、次の☖3四飛と浮き飛車に構えるのがまた不自然で、先手に歩を取ってもらうまで他の指したい手を優先するのが普通だろうと思う。狙いがあるとすれば角頭の歩を掠め取るくらいなので、☖7四飛に☗6七銀と上がれるようにした銀上がりは、相手のペースに乗らないように心掛けた。
 第1図は中住まいに構える☖5二玉で、これはこちらの向かい飛車に反応したものだろう。

☗6七銀 ☖7二金 ☗8六歩 ☖1四歩
☗5八金 ☖3二金 ☗4八玉 ☖1三角
☗3八金(第2図)

   【第2図は☗3八金まで】

 銀の使い方を早々に決めるのも善し悪しかもしれないが、こちらの狙いは浮き飛車の圧迫と囲いの堅さによる作戦勝ち。後手はどうも大駒交換に強い形を作っているようだ。☖1四歩に対する☗5八金は、自分の中では☖1三角を先受けしたくらいの意味しかなかった。
 局後検討していると、☗5八金には☖1三角を半ば強制する意味があり、それ以外の手を指すと☗4六歩~☗4七金という形を作るのはどうか、と思いついた。
 しかし低ノード技巧2の検討で分かったことだが、本譜の指し手☖3二金に対して☗4六歩と指していると、☖3七歩成☗同銀☖同飛成☗同桂☖3六歩に☗3八歩と指していい勝負なようだ。自陣は乱され小駒を拾われるものの、もらった飛車の活用の目途が立たない。なるほど、と思った。
 第2図でこちらの金の使い方が相手に伝わったところ。金無双ではなく矢倉模様だ。

☖3三桂 ☗5六銀 ☖4二銀 ☗8五歩
☖8二銀 ☗9六歩 ☖1二香 ☗6五歩
☖3七歩成☗同 銀 ☖3六歩 ☗2八銀(第3図)

   【第3図は☗2八銀まで】

 こちらも向こうも自然な手を積み重ねているが、どうもこちらの方が得をしているような気のする交換が続いている。第3図の☗2八銀には時間を使って読みを入れた。☗2六銀には☖2四歩☗3五歩に☖5四飛や☖7四飛で☖2五歩が残っている分意外とでかしていない。☗4六銀が良かったようだが、そもそも後手から乱戦にされる展開を嫌っているので、☖4六同角☗同歩といった攻めがあり得るなら、たとえ成立していなくても手の流れから考えれば避けるのが自然だ。
 ☖4四歩や☖7四歩と指してくれれば、こちらも飛車先交換が出来るので、後手の指し手が難しい。

☖2四歩 ☗4六歩 ☖2五歩 ☗4七金左
☖2三金 ☗9五歩 ☖1五歩 ☗6六角
☖2四金 ☗3七歩 ☖同歩成 ☗同 銀
☖4四歩(第4図)

   【第4図は☖4四歩まで】

 第4図では☗3六歩と傷を消しておけば先手の囲いは十全の構えで、攻め手に困らないことも相俟って先手優勢と言って差し支えないだろう。本譜はそうならなかった。

☗8四歩 ☖4三銀 ☗8三歩成☖同 銀
☗8四歩 ☖9二銀 ☗7七桂 ☖3六歩
☗2八銀 ☖3五金(第5図)

   【第5図は☖3五金まで】

 歩を渡さない限り後手からの☖3六歩には強く☗同銀と取れるが、もう一歩あると☖3五歩で困る。そこで先に☗3六歩と押さえてから攻めに転じるのが正しい。にも拘わらず、本譜は先に☗8四歩としてしまったため、形勢が怪しくなってきた。先手は8筋を押し込んで☗7七桂、後手も☖3六歩~☖3五金と進出してきた。

☗6四歩 ☖同 歩 ☗5五銀 ☖5四歩
☗6四銀 ☖6三歩 ☗7五銀 ☖4六金
☗6五桂 ☖4七金 ☗同 金 ☖6二金
☗8三歩成☖4六金 ☗9二と ☖4七金
☗同 玉 ☖4六金 ☗5八玉 ☖4五桂(第6図)

   【第6図は☖4五桂まで】

 第5図で☗5八玉と指しておけば☖4五歩の攻めに☗同歩と強く取れる(4八の地点が空くので☗4八金と引ける)のでまだよかったようだ。
 本譜は攻め合い志向だったので☗6四歩。後手の☖6二金で形勢がこちらに戻った。代えて☖3一角が空振りに終わった攻めを放棄して5三の地点を受ける良い受けになっていたらしい。とはいえ先手やや指しやすいと思われる。
 途中☗9二とでは☗7二との方が厳しかったようだ(☖同金は☗5三金が厳しい。4六の金も質になっている)。
 後手も5七に殺到しつつ第6図へ。

☗5三金 ☖同 金 ☗8二飛成☖6二金
☗5三桂成☖同 玉 ☗4二銀 ☖同 玉
☗6二龍 ☖5二銀打(第7図)

   【第7図は☖5二銀打まで】

 飛車成りを王手で入れて調子が良いようだが☗4二銀が形勢を怪しくする手で、斜め駒がなく☗6二龍のときに☖3三玉と逃げられて意外と捕まらない。本譜は第7図☖5二銀打で、☗2三金と打てば挟撃形。問題は自玉と時間との兼ね合いで、第7図の時点で☗2三金が頭になかったこともあり自玉ばかりを見ていた。

☗6七玉 ☖5七金 ☗7七玉 ☖5六金
☗2三金 ☖6六金 ☗同 銀 ☖6八角
☗8七玉 ☖8六歩 ☗9六玉 ☖8七歩成(第8図)
☗5三金 ☖3一玉 ☗5一龍 ☖4一桂
☗5二龍 ☖2一玉 ☗1二金(投了図)
まで、105手で先手(自分)の勝ち

   【第8図は☖8七歩成まで】      【投了図は☗1二金まで】

 

 第8図からは簡単な詰み。
 今後は普通に居飛車を指そうと思った。